漢方治療入門講座

高血圧の代表的な漢方薬

高血圧の代表的な漢方薬

複合剤
  • 血府逐於丸(四物湯+<紅花・桃仁・牛膝・柴胡・枳穀・桔梗・甘草>) 実証の高血圧、脳梗塞後や冠状動脈硬化のある人にも良い
  • 加味四物湯(四物湯+<黄連・黄柏・牛膝・杜仲・麦門冬・知母・五味子・人参・朮>) 実証の高血圧、上盛下虚を目標に中年以降の糖尿病など諸疾患にも用いる。
  • 防風通聖散黄連解毒湯合竜胆瀉肝湯加柴胡合四物湯 実証の高血圧、上盛下虚を目標に中年以降の諸疾患にも用いる。
    一貫堂の竜胆瀉肝湯
補血剤・補陰剤
  • 四物湯(地黄・芍薬・当帰・川芎) 下半身の衰えを補う代表薬。高血圧など中年以降の諸疾患に用いるが、多くは他薬を加味して使用
  • 七物降下湯(四物湯+<黄耆・釣藤鈎・黄柏>) 多くは釣藤散と合方して投与。
  • 猪苓湯合四物湯   心煩、尿意頻数 残尿感を目標に良く使用している 不眠、過活動膀胱にも
  • 温清飲(四物湯+<黄連・黄柏・黄ごん・山梔子>)
  • きゅう帰膠艾湯(四物湯+<艾葉・甘草>) 下半身の衰えを補い、瘀血を去る薬方。産後の高血圧などに使用
  • 疎経活血湯(四物湯・ニ陳湯・威霊仙・防己・羌活・防風・牛膝・竜胆・桃仁) 瘀血と水毒と風寒を兼ね、ことに腰より以下の痛み、痺れのあるものに使用
  • 六味丸(地黄・山茱萸・山薬・牡丹皮・沢瀉・茯苓) 腎虚の基本薬
  • 知柏地黄丸(六味丸+<知母・黄柏>)
  • 味麦地黄丸(六味丸+<麦門冬・五味子>)…八仙長寿丸
  • 八味地黄丸(六味丸+<桂枝・附子>) 中年以降の腎虚のある諸疾患に広く使用
  • 牛車腎気丸(八味地黄丸+<牛膝・車前子>)
裏虚に対する方剤
  • 小建中湯(芍薬・甘草・桂枝・生姜・大棗・膠飴) 虚労に用いる
  • 黄耆建中湯(小建中湯・黄耆) 一層虚労に陥ったものに使用
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯(桂枝湯・竜骨・牡蛎) 神経過敏、虚労に使用。
気血両補剤
  • 十全大補湯(四物湯+四君子湯+<黄耆・桂枝>) 胃腸虚弱タイプの人に使用。疲れが原因の高血圧に使用
  • 炙甘草湯(地黄・阿膠・麦門冬・炙甘草・生姜・大棗・人参・桂枝・麻子仁) 虚労不足、汗出て、のぼせて動悸し、便秘しがちな人の高血圧に使用
  • 大防風湯(四物湯・四君子湯・黄耆・防風・羌活・杜仲・牛膝) 気血両虚し腰痛、膝痛 歩行困難に使用 慢性関節リューマチにも使用 
柴胡剤
  • 抑肝散(柴胡・当帰・川芎・釣藤鈎・朮・茯苓・甘草)
  • 抑肝散加陳皮半夏 癇が高ぶり、手が震えたり、寝付かれない者の高血圧に使用
  • 柴胡桂枝乾姜湯(柴胡・桂枝・瓜呂根・黄ごん・牡蛎・乾姜・甘草) 上熱下寒にて、下痢しやすい人の高血圧に使用
  • 加味逍遥散(柴胡・当帰・芍薬・白朮・茯苓・牡丹皮・山梔子・甘草・生姜・薄荷) 血の道症状のあるひとの高血圧に使用。男性にも使用。
  • 加味帰脾湯(帰脾湯+<柴胡・山梔子>) 血の道症状があり、心虚に陥ったひとの高血圧に使用
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(柴胡・半夏・茯苓・桂枝・黄ごん・大棗・生姜・人参・竜骨・牡蛎) 神経過敏で臍上で動悸を触れ、便秘がちで排尿回数の少ない者に使用
  • 大柴胡湯(柴胡・半夏・生姜・黄ごん・芍薬・大棗・枳実・大黄) 胸脇苦満し、便秘するものに使用
  • 竜胆瀉肝湯(竜胆・山梔子・黄ごん・車前子・沢瀉・木通・地黄・当帰・甘草) 解毒体質のもので下焦に湿熱のあるものに使用
清熱剤
  • 黄連解毒湯(黄連・黄柏・黄ごん・山梔子) 多くは赤黒く艶のいい肌の者に使用。鼻出血を伴うことがある。四物湯を合わせて温清飲の形で使用することが多い。
  • 三黄瀉心湯(黄連・黄ごん・大黄) 多くは短期間、急激な血圧上昇、鼻出血、眼底出血などに対して使用
  • 女神散(黄連・黄ごん・檳榔子・当帰・川芎・白朮・香附子・桂枝・人参・木香・甘草・丁香) のぼせ、めまいの強い更年期の高血圧によく使用。
  • 防風通聖散 肥満性卒中体質者の体質改善薬。体内の食毒・水毒・風毒など一切の自家中毒物の欝滞を排泄する。太鼓腹で便秘がちなものに使用
化痰利水剤
  • 六君子湯(甘草・乾姜・人参・白朮・茯苓・大棗・半夏・陳皮) 胃腸虚弱で下痢しやすいひとに使用
  • 半夏白朮天麻湯(六君子湯+<麦芽・黄耆・神麹・沢瀉・黄柏・天麻>) 脾胃虚弱で便秘がちなものに使用。裏熱をとる黄柏が配されている。
  • 釣藤散(釣藤・橘皮・半夏・麦門冬・茯苓・人参・菊花・防風・石膏・甘草・生姜) 神経質なもので気の上衡がひどく頭痛、眩雲、肩背拘急、眼球結膜充血するものに使用。六君子湯と異なり裏熱をとる石膏が配されている。
  • 五積散(当帰芍薬散・苓桂朮甘湯・半夏厚朴湯・平胃散) 冷え太りの体質改善薬。気・血・痰・寒・食の五積を治す。
  • 苓桂朮甘湯(茯苓・桂枝・白朮・甘草) 水毒の上衡するものに使用
  • 当帰芍薬散(当帰・芍薬・川芎・茯苓・朮・沢瀉) 水毒・瘀血のあるものに使用
解表剤
葛根湯(葛根・麻黄・桂枝・当帰・大棗・甘草・乾姜)
  • 肩や首が凝り便秘がちなひとに使用
  • 続命湯(麻黄・桂枝・杏仁・当帰・川芎・人参・甘草・乾姜・石膏) 脳卒中後の使用薬方として有名
  • 桂枝人参湯(桂枝・人参・甘草・乾姜・白朮) 表熱裏寒を治す薬。下痢しやすいものに使用
温裏剤
  • 真武湯(茯苓・芍薬・生姜・朮・附子) 裏寒に陥っているものに使用
  • 茯苓四逆湯(伏苓・人参・甘草・乾姜・附子) 裏寒に陥り煩燥があるものに使用
附記:牛黄、麝香、羚羊角、犀角の配された薬方
牛黄、麝香、羚羊角、犀角の主な成分と効能
名称 主な成分 効能
牛黄 牛の胆石 鎮静、強心、解熱、開竅化痰
麝香 麝香鹿の香のうの分泌物を干したもの 開竅、活血
犀角 犀の角 解熱、鎮静
羚羊角 羚羊の角 解熱、鎮静
  • 牛黄清心丸(牛黄・麝香・犀角・竜脳・蒲黄・黄ごん・金箔など)
  • 片仔こう(牛黄・麝香・田七人参・蛇胆)
  • 救心(牛黄・麝香・羚羊角・蟾酥・真珠・竜脳・人参・動物胆)
  • 六神丸(牛黄・麝香・蟾酥・真珠・竜脳・人参・熊胆)
  • 奇応丸(牛黄・麝香・人参・熊胆・沈香)
  • 救命丸(牛黄・麝香・犀角・人参・動物胆・黄連・甘草・丁子・竜脳) 

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