漢方治療入門講座

咳・痰・喘息の漢方治療

咳・痰・喘息の漢方治療

最大のチェックポイントは寒か熱か
咳・痰・喘息に対して現代医学には抗生物質を始めとして優れた種々の治療手段がありますが、漢方医学にも優れた咳、痰、喘息の薬があり、今日でも尚十分活躍の場があります。
漢方医学は2000年以上も前の医学です。
今日のような強力な効果のある抗生物質などのない時代に、どうしたら目の前の病気を治せるのか真剣に考えたことと思います。
刻々と変化する病態を症状や身体所見だけで的確に捕え病態を治癒に向かわす薬物をきら星のごとく沢山見い出したすさまじい努力の結晶です。
今日の我々はその祖先の恩恵を簡単に利用させて頂いています。
安直に現代医学の薬と併用しないで、漢薬だけを適切に使用した方が良い効果を期待出来ます。
と、言いますのは、現代医学の薬は強力に症状を抑えるのに優れていますが、長期に使用すると内臓の働きを弱らせ、自然治癒力を衰えさせ、反って、病気を治りにくくさせてしまうからです。
最前線の医学から離れた立場での経験にすぎませんが、少量で短期間の抗生物質をたまに使用せざるを得ない時や、喘息の発作のひどい時に気管支拡張剤を頓服させたり、吸入させたりする程度で、殆どの場合漢薬だけで事足りてしまいます。
現代医学の薬を使用するより、穏やかで副作用で苦しむ事無く、体全体がすっきりと治ります。
咳・痰・喘息は漢薬がファーストチョイスであり、又、現代医学の薬を併用せざるを得ない時も漢薬をベースにして、不足を現代医学の薬で少しだけ補うのが理想であると考えます。
咳や痰、喘息の漢方治療においても最大のチェックポイントは寒か熱かと言う事です。
例えば打ち身でも温めていると痛みが無くなったり、腫れが引いてくる時(寒)と、逆に温めると痛みが増し、腫れがひどくなり、冷やすとおさまる時(熱)があることは経験的におわかりでしょう。
現代医学ではあまり気に留めないことですが、ここをしっかり見定め、投与薬方を決定します。
寒ならば体を温める生姜や附子の配された処方(人参湯や甘草乾姜湯や真武湯など) 体の芯の冷え、鼻水、薄い痰、下痢気味 尿が透明で頻数などを目標とする。


熱ならば体を冷やす黄連や石膏、柴胡などの配された処方 粘調で濃い色の痰 気管支や喉のひどい痛み 濃い色の尿 舌の黄苔などを目標 寒、熱の程度や性質により、様々な薬方が用意されています。
 
 

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