漢方症例集

鎮痛薬が効かない頭痛に柴胡疎肝湯

鎮痛薬が効かない頭痛に柴胡疎肝湯
女性(50歳)
3年前に事業を立ち上げ,多忙をきわめていたところ,イライラ・肩こり・めまい・頭痛・不眠となった。心療内科を受診し,9種類の精神科の薬とロキソプロフェンナトリウム水和物,抑肝散を服用している。それでも眠れなくて,頭痛が酷く,ロキソプロフェンナトリウム水和物を1日10錠服用しても治らない。身体が疲れやすく,だるく,食欲がない。この1年で10 kg体重が減少した。顔色が悪く,疲れきった表情をしているが,目つきが鋭い。腹診上,胸脇苦満,両腹直筋の緊張があり,左上腹部にガスによる腹満あり。臍下悸や下腹に瘀血を思わせる抵抗と圧痛はない。首肩の凝りがある。四逆散に香附子・川芎・青皮が配され,肝気鬱結を理気する作用が強い柴胡疎肝湯を投与。たくさんの西洋薬が生命力を損なわせていると思われ,精神科の薬は2~3種類にするように指示。
2週間後,明るい顔色になって受診。食事が進むようになり,頭痛が軽くなったという。
4週間後,受診。別人のように生き生きとしてきた。睡眠薬は1種類だけにしている。頭痛もなくなり,ロキソプロフェンナトリウム水和物はこの2週間服用していないとのことであった。
現代社会はストレス社会です。胸脇苦満.肝気鬱結に陥った人のいわゆる自律神経失調症に柴胡疎肝湯などの柴胡剤はきわめて有効です。
 
 
 

ページトップへ