漢方治療入門講座

陰陽とは

陰陽とは

陰陽
相対的な二つの事柄において
活動的で熱性、積極性のものを陽といいます。
非活動的で寒性、消極性のものを陰といいます。
陰陽といっても絶対的なものでなく、状況により変化します。
太陽
日なた 日かげ
暑い 寒い
上昇 下降
外向 内向
拡大 収斂
運動 静止
子供
 
生体における陰陽
精神 肉体
上半身 下半身
背部 腹部
体表 内臓
六腑(中空臓器) 五臓(充実性臓器)
冷え
充実した脈 遅く、弱い脈
 
疾病における陰陽
陽証(攻撃剤の適応) 陰証(防衛剤の適応)
精神興奮 精神萎縮
顔面紅潮、眼球結膜充実 顔面暗灰色
暑がりで手足が温かく薄着を好む 寒がりで手足が冷え厚着を好む
伸展して臥し、呼吸が荒い ちぢこまって横臥するのを好み、息切れ
多言し、声は大きく明瞭 物言うのがおっくうで、音声微弱
活動を好む 静寂を好む
汗かきで口渇し、冷水を好む 渇せず、温かい飲食物を好む
腹痛は按を拒む 按を好む、温熱刺激を好む
大便は燥結、便器にへばりつく 大便は軟便傾向
尿量は減少し黄赤色 尿は透明で量が多い
舌質は紅、かたく引き締まる 舌質淡嫩
舌苔は黄色で乾燥 舌苔は潤滑
脈に力あり 脈は多くは沈遅で細弱
 
表裏(疾病の位置・深浅)
体表部付近 体内深部 (消化管)
表証 裏証
病邪が体表部近くを侵襲 病邪が人体の奥深く侵襲
表実証、表虚証 裏熱証、裏寒証
解表剤の投与 清熱瀉下剤、温裏剤の投与
 
虚実(生体の防衛力と病邪の力関係をはかる尺度)
生体の防衛力不足、
自然治癒力の低下
邪気の勢力が強い、
正邪の攻防が激しい
病状がはっきり表に出ない 病状が激しく出る
患部の痛みや発赤腫脹が弱い 患部の強い痛みや発赤腫脹、
筋の過緊張
補法…防衛剤の投与 瀉法…攻撃剤の投与
 
寒熱(疾病の性質)
寒がる 熱がる
冷えを触知 熱を触知
寒を思わせる所見 熱を思わせる所見
代謝低下、機能低下 代謝亢進、機能亢進
温裏剤などを投与 清熱瀉下剤など攻撃剤の投与
一般に、中医学では表裏―寒熱―虚実―陰陽の順に八綱弁証を行い投与薬方を決定する。これらの要素はお互いにダブる部分も多くごく大雑把には左図のようになる。
臨床の場では現実は、寒熱の指標で判断すれば病証を把握しやすく、大筋で正しい投与薬方を決定できる。
 
 

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