漢方治療入門講座

瘀血について

 
瘀血について

瘀血とは
瘀血
瘀血とは漢方医学の独特の概念で、体内の血液が一定箇所に滞ることで種々の障害をきたすことを指します。血の欝滞を去り、血の流れを改善して、解毒する効果のある駆瘀血薬の配された処方を駆瘀血剤といいます。西洋医学の消炎剤などに相当しますが、難症固疾となった種々の病状を起死回生させる効果が期待できます。駆瘀血剤は一般的には婦人科疾患に用いるイメージが強いのですが、抗血栓作用や抗動脈硬化作用もあり、脳血管疾患、高血圧、循環器疾患等にも積極的に用いるべき薬です。また、打撲、捻挫、骨折、四肢身体の頑固な疼痛や慢性肝炎、慢性腎炎、癌などにも適応があります。西洋医学が華々しく進歩した今日でも、西洋医学には無い治療薬である駆瘀血剤は極めて重要な治療手段であると思います。
 
瘀血について
伊藤康雄先生(名古屋市、杏林ワコー薬局)は、瘀血について次のように述べられております。
瘀血とは、澱んだ血液という意味であるが、それは確かに血液の留滞障害を意味しているのかもしれない。しかし、それは結果であって、血液の欝滞原因は二面で考えなくてはならない。
1.血液が冷え込み活性を失ったため、下焦に気血が欝滞して瘀血を作り出したもの。
2.血液が余剰になり、循環に供せられること無く、下焦に気血が澱んでしまったもの。
 この二原因によって薬方を使い分けなければならない。
1.に対しては、当帰、川芎、蘇木や少量の紅花を用いる。
2.に対しては、余剰の血を体外に排出すべく、桃仁などを用いなければならない。
大凡、その二つの方法で、大概の瘀血障害は処理できる。
それ以外に水蛭・シャ虫・虻虫などの配された動物性駆瘀血薬(陳旧性瘀血を取り去る)があります
駆瘀血剤については「漢方治療について‐攻撃剤‐(駆瘀血剤について)」を参照。
 
 

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