漢方症例集

不妊に芎帰調血飲


不妊に芎帰調血飲
女性(28歳)
一昨年に左卵巣チョコレート囊腫で手術,昨年子宮外妊娠,右卵管切除。挙児を希望され受診。月経痛・月経時の血塊がある。下腹に瘀血所見がみられるが,心下痞鞕し,やや胃下垂。足が冷えやすく,天気が悪いと頭痛や肩こりあり。香附子が配され、気圧の変動で頭痛などの体調不良を訴える脾胃虚弱なひとに投与する駆瘀血剤である芎帰調血飲4 g/日分2を投与した。ほどなくして自然妊娠し,健やかな男児に恵まれた。
【解説】 芎帰調血飲は,現在あまり使われていないようですが、外部環境の変化に対処できない、胃腸虚弱タイプによい駆瘀血剤として,気象激変の中で生きる虚弱化した今日の日本人に、極めて重宝しています。卵巣機能を整えて,ホルモンバランスを図る効果が期待できる処方だと思います。この患者は一般的には挙児は難しい状況だったと思います。芎帰調血飲を服用し,すぐに自然妊娠され,健やかな男児に恵まれたことを,生まれたお子さんを連れて2年後に受診した際に知りました。一般常識にとらわれず,漢方薬の可能性を期待して,真摯に患者さんに向き合う必要があることを知りました。
 
 
不妊に六味丸
女性(36歳)
痩せて背が高く、青白く浮腫んだ顔をしている。挙子を希望され受診。生理が2相性にならず、生理周期も長い。主として真武湯を投与。6ヵ月後、生理は二相性になる。
人工授精を受けるが失敗。視床下部が動いていないと婦人科で言われ、心が動揺し、体調崩す。体外受精を薦められる。
婦人科の治療をあきらめ、漢方治療だけとする。
膻中に熱を感じ、下腹に瘀血を思わせる抵抗あり。真武湯と六味丸を一緒に投与。体重が増え、身体が温かくなる。8ヵ月後、自然妊娠
健やかな男児を自然分娩。
 

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