柴胡剤について(その2)
柴胡剤の基本薬
傷寒五六日、往来寒熱、胸脇苦満、黙々として飲食を欲せず、心煩、喜嘔、あるいは胸中煩して嘔せず、あるいは渇し、あるいは腹中痛み、あるいは脇下痞更し、あるいは心下悸して小便不利し、あるいは渇せず、身に微熱あり、あるいは咳するものは小柴胡湯を主る。傷寒四五日、身熱悪風、頚項強ばり、脇下満、手足温にして渇するものは小柴胡湯を主る。
主として傷寒に用いる
雑病に用いるときは、多くは合方したり、あるいは他の柴胡剤の適応となる多くは痩せ型で筋肉質、くすんだ顔色、上腹角が狭い
傷寒五六日、すでに汗を発し、しかしてまた之を下し、胸脇満微結、小便利せず渇して嘔せず、ただ頭汗出で、往来寒熱、心煩の者は、柴胡桂枝乾姜湯之を主る
血の道症、高血圧、肝炎など広く使用
上熱下寒、下痢しやすい、風邪をひきやすいものに使用
風呂を沸かす時、風呂の湯をまぜて上部の熱さと、下部の冷たさを均一にするような働きがある薬
十
帰脾湯に柴胡・山梔子、加味逍遥散より虚状を呈する血の道症などに良く使用
加味逍遥散とちがい下痢しやすい。風邪をひきやすく、体がしんどく、クヨクヨ、イライラ
傷寒八九日、これを下し、胸満煩驚、小便不利、譫語、一身ことごとく重く、転側すべからざる者は柴胡加竜骨牡蛎湯これを主る
神経症、不眠症、癲癇、高血圧などに使用
太陽病…反って二三之を下し、後四五日、柴胡の證なおある者は、先ず小柴胡湯を興う。嘔やまず、心下急、欝欝微煩の者は大柴胡湯を興えて之を下せばすなわち癒ゆ
雑病に用いるときは一般に便秘がちでがっしりした体格のものに使用
胆石、高血圧、肝炎、便秘などに使用
かつて肺結核によく用いられた薬。
微熱が長引き、衰弱の傾向にあるものに用いる。
虚弱の婦人に多いと記載されているが、陰虚し、肺熱燥をきたいしやすい現代人向きの加味逍遥散として諸疾患に広く使用している。