漢方治療の基本

漢方医学における診断治療法

漢方医学における診断治療法

三陰三陽(病邪に対する生体の防衛反応の諸相を診断治療)

傷寒論*(漢方医学のバイブル)に記述された漢方医学の基本的診断治療法に三陰三陽 (病邪に対する生体の防衛反応の諸相を診断治療)があります。

しょうかんろん【傷寒論】

中国の医書。一〇巻。後漢の張仲景の撰。晋の王叔和の補修。205年頃完成したという。傷寒の治療法を述べる。古来、漢方医、特に古方派の聖典とされた。
三省堂「大辞林 第二版」より

三陰三陽太陽病
太陽の病たる、脈浮、頭項強痛して、悪寒す。
太陽病、項背強張ばること几几、汗無く悪風するは葛根湯之を主る。

発病の当初で病邪が表(体表部)に止まっている時
治療 … 発表法(汗法・解表法)
表実 ⇒ 葛根湯など

三陰三陽陽明病
陽明の病たる胃家実是なり。
陽明病、脈遅、汗出ずといえども悪寒せざるものは其の身必ず重く、
短気、腹満して喘し、潮熱あり、手足しゅう然として汗出ずるものは

病が進行して病邪が裏に侵入した時
治療…下法 ⇒ 大承気湯、調胃承気湯など

三陰三陽少陽病
小陽の病たる、口苦く、咽乾き、目眩くなり。太陽病解せず
少陽に入る脇下硬満、乾嘔、食する能わず、往来寒熱す

病邪が半表半裏に侵入した時
治療…中和法 ⇒ 小柴胡湯、柴胡桂枝乾姜湯など

三陰三陽太陰病
太陰の病たる腹満して吐し、食下らず、時に腹自ずから痛む

病邪は表にあるが、裏虚症状が既に認められる時
治療…裏を補いながら発表 ⇒ 桂枝湯、桂枝加芍薬湯、小建中湯など

三陰三陽少陰病
少陰の病たる脈微細、ただ寝んと欲するなり

病邪に打ち負かされ生体の代謝が衰え、裏寒に陥っている時
治療…温補(新陳代謝を高める) ⇒ 真武湯、附子湯など

三陰三陽厥陰病
厥陰の病たる気上がって心を撞き、心中疼熱し

誤治などにより寒熱がからみあった時
治療…陰陽の気を順接させる ⇒ 当帰四逆加呉茱萸生姜湯など
 
 

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