各種疾患への応用

現代医学の薬と漢薬を併用する時の注意

現代医学の薬と漢薬を併用する時の注意

二つの「武器」

今日、我々は現代医学の中で漢薬を使用しており、患者さんの状況に応じて現代医学の武器を適切に活用する必要がある場合もあります。
漢薬と現代医学の薬の併用にあたり、一人の患者さんの状況を漢方医学の観点から診て適切と思われる漢薬と、現代医学の見地から必要と思われる西洋薬を単に合わせて併用する方法が一般に行なわれているようですが、両者を併用しても良くならないと訴えて我が医院を受診される方が後を絶ちません。
西洋薬の上に余分に漢薬を増やしたために、かえって病状を余計に悪くし、その上、経済的にも不利益をもたらしているケースが多い。
現代医学の不足を漢薬でカバーするか、漢方医学の不足を西洋薬でカバーするのか、どちらかの立場にしっかり立ってお互いの長所を生かしきる併用法が必要です。

  • 漢方医学に無い現代医学の武器
    • 細菌感染に対する抗生物質
    • 簡便で効果の高い消炎鎮痛剤
    • 脱水に対する輸液など
  • 現代医学に無い漢方医学の武器
    • 温裏剤―代謝を上げ自然治癒力を高める
    • 補気剤―胃腸の働きを良くし、自然治癒力を高める
    • 気血両補剤―胃腸を良くし体力をつけ治癒力を高める
    • 滋陰剤――身体を潤し、自然治癒力を高める
    • 補腎剤――肝腎の働きをよくして自然治癒力を高める
    • 柴胡剤―少陽の熱を取り、風邪を治す。などなど
併用例
  • 発熱しているが裏寒に陥いっており、太陽病の方剤の適応でない時
    • 真武湯を投与して、頓服の形で解熱鎮痛剤を持たせておく
  • 細菌感染の強く示唆されるしつこい咳に
    • 抗生物質と人参湯を併用 抗生物質が身体を冷やし、裏寒に陥らせ、胃腸を悪くするのを防止、胸を温め、咳を止める
    • 抗生物質と六君子湯 抗生物質が身体を冷やし胃腸をわるくするのを防止、軽い少陽の熱をとり咳を止める
  • 細菌感染が強く示唆される扁桃腺炎に
    • 抗生物質と真武湯
  • 風邪の治りを良くするために
    • 西洋薬の風邪薬と甘草乾姜湯を併用 西洋薬の風邪薬が身体を冷やし裏寒に陥らせ自然治癒力が衰えるのを防止
       

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