各種疾患への応用

腰痛、関節痛、慢性関節リウマチの漢方治療

腰痛、関節痛、慢性関節リウマチの漢方治療

痛みの漢方治療

これら疾患に対して、現代医学では消炎鎮痛剤を投与するのが定石ですが、胃腸障害、胃潰瘍の発症などの副作用の出現ばかりでなく、生体防衛反応として起きている痛みを抑える消炎鎮痛剤投与がこれら疾患を返って増悪させる結果となっていると指摘されています。(安保徹 治療82 No.7 190-195、2000)
東洋医学では痛みを起こしている原因となっている局所の経絡の気血の欝滞を取り除いたり、気血の流れを良くすることにより痛みを軽快させ、治病を図ってきました。
現代医学の医療関係者の中には「井戸の中の蛙、大海を知らず」、東洋医学を無視するひとが多いのですが民間ではこれら疾患に消炎鎮痛剤投与を受けてもはかばかしくないことを良く承知しており、東洋医学の物理療法である鍼灸マッサージを受けたり、湯治して治したり、漢方治療を受けて治すひとが多いのです。
 

寒                                         
生姜や附子が配され
身体を温め、血流をよくする薬方
大黄や石膏などが配され
熱をとり、血流をよくする薬方
表寒:解表剤(代謝低下していない) 裏熱:清熱瀉下剤
裏寒:温裏剤(代謝低下) 少陽の熱:柴胡剤
気血両虚:気血両補剤 瘀血:駆瘀血剤
血虚、陰虚、陽虚 補腎剤  
  1. 表寒 麻黄や桂枝が配され、身体を温め発汗させて経絡の気血の流れを良くする (裏虚) 解表剤、桂枝湯、麻黄湯、葛根湯が基本である。
    臨床では桂枝湯に身体を温め新陳代謝を高める附子が配された桂枝加朮附湯、桂枝湯に胃を温め水毒を去る呉茱萸が配された当帰四逆加呉茱萸生姜湯などをよく用いる。
  2. 裏寒 生姜や附子が配され身体の芯を温め新陳代謝を高めて発汗を促す温裏剤(人参湯、真武湯、茯苓四逆湯など)。
  3. 気血両虚 人参、黄耆が配された補気剤と地黄、芍薬の配された補血剤がミックスした気血両補剤(十全大補湯、人参養栄湯、大防風湯など)
  4. 血虚、陰虚 地黄、芍薬の配された、補血剤、補陰剤(四物湯など)
  5. 水毒 水毒を去り気血の流れを良くする利水剤など(防已黄耆湯、二朮湯、当帰芍薬散、五苓散)
  6. 瘀血 瘀血(古血)を去り、経絡の欝滞を取り除いて気血の流れを良くする駆瘀血剤(疎経活血湯、牛車腎気丸、桂枝茯苓丸、通導散)
  7. 裏熱 裏熱を去り気血の欝滞を取り除く清熱瀉下剤。腫脹、発赤、痛みの激しい時に使用(治打撲一方、越婢加朮湯)
  8. 少陽の熱 少陽の熱を去って気血の流れを良くする柴胡剤(柴胡桂枝湯など)
痛みの漢方治療のポイント

附子の配されない漢方方剤の適応であっても、一般的には附子を加えて用いると良いことがある。

痛みの漢方治療の利点

単に痛みに効果があるばかりでなく、気血の不調を整えることによって体調が良くなる、気分が良くなる、便秘、高血圧など他の身体所見の改善が同時に可能です。

痛みの漢方治療の欠点

消炎鎮痛剤のように一律な効果が得にくい。生活習慣の改善が必須。

漢方治療を効かせるには

東洋医学の鍼灸マッサージなどの理学療法の併用が望ましい。
生活習慣の改善が必須、現代医学の薬との併用を必要最少限にする。
 
 

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