子宮筋腫に桂枝茯苓丸
女性(50歳)
30年近く前の記憶に残る症例である。カルテも残っておらず,詳細は忘れたが,50歳くらいの閉経間近となった女性で,妊娠5カ月ほどの大きさの子宮筋腫があった。桂枝茯苓丸などさまざまなエキス剤を試したが,効果なく,伊藤康雄先生に治療を依頼した。伊藤先生は桂皮茯苓丸の丸剤を投与された。その後,筋腫が腹診上わからないほどに縮小した。これまで,子宮筋腫にいろいろアプローチしたが,これほど効いた症例は記憶にない。
【解説】 子宮筋腫には桂枝茯苓丸が定石のように投与されています。しかしながら現実には愁訴の改善が得られても,筋腫が縮小することは難しいのが現状です。あきらめるのではなく,効かせる工夫をしていくことの必要性を教えていただきました。理由はよくわからないが,古人が散剤としたものは散剤が,丸剤と指定したものは丸剤が,効くといわれています。エキス剤では効果がなくても,あきらめてはいけないことを教えていただきました。