漢方症例集

桂枝茯苓丸の誤用

桂枝茯苓丸の誤用
女性(46歳)
血尿に気づき受診。排尿痛はない。顔色は青白く,鼻水がひどい。身体がだるいが,食欲はある。尿潜血強度,白血球陽性,蛋白陽性。子宮内膜症で3年間,桂枝茯苓丸のエキス剤を服用していたとのこと。腹が冷たく裏寒に陥っていると判断し,その場で茯苓四逆湯(茯苓・甘草・乾姜・人参・附子)を服用してもらった。しばらく休んでいたところ身体が温かくなり,気分がよくなった。トイレに行ったところ尿がきれいになっているのに気づいた。長い年月,桂枝茯苓丸を服用したために,裏寒に陥ったと思われる。
3日後,生き生きとした顔色で受診。尿検査の異常はなかった。
【解説】 一般的に,子宮筋腫や子宮内膜症は瘀血によるものと考え,桂枝茯苓丸を投与するのが定石です。疾患の性質上,長期間にわたって,桂枝茯苓丸が投与されることが非常に多いのですが,知らぬ間に裏寒に陥らせてしまっていることが多々あります。身体を診ながら,慎重に投与する必要があります。
 
 

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