漢方症例集

発熱、寒気、頭痛、頸肩の凝りに川芎茶調散

発熱、寒気、頭痛、頸肩の凝りに川芎茶調散
男性(60歳)
痩せて胃腸虚弱タイプ。かぜ・胃痛・花粉症などで香蘇散や香蘇散合六君子湯,香蘇散合茯苓飲合半夏厚朴湯を主として投与していた。
ある日,38度の発熱・強い頭痛・頸肩の凝り・咽頭痛を訴え受診。後頸部はバンバンに凝っており,寒気を訴えるが,顔はほてり,うっすらと発汗している。手足は冷えているが裏寒はない。喉は発赤のみ。食欲不振や下痢,胃部不快感はない。傷寒ではなく,温病と思われた。香蘇散より強く解表する効果のある川芎茶調散7.5g/日分3を投与し,安静を指示。
後日,受診。川芎茶調散を2日服用したのみで,すっかりよくなったとのこと。
 
 
近年の高熱、頭痛、頸肩の凝り、寒気の風邪に川芎茶調散
川芎茶調散は強い頸肩の凝りがあり,首のあたりに寒気がするという人の頭痛に用いると効果の高い処方です。かぜやインフルエンザの初期で高熱・頭痛・頸肩の凝りひどく,一見,葛根湯や麻黄湯の適応と思われても,よく診るとすでに発汗しており,傷寒ではなくて温病と判断する場合は,川芎茶調散を投与するとよいことが多いのです。川芎茶調散と香蘇散の鑑別は,川芎茶調散は頸肩の凝りが強く,胃部不快感や食欲不振,下痢がないことです。
 
発熱、ぐったりしているのに升麻葛根湯
男児(2歳)
身体の細い子です。生後3ヶ月より、アトピー性皮膚炎にて当院にて漢方治療を行う。当初は裏寒が目立ち、茯苓四逆湯を主に投与していたが、酷かったアトピーも落ち着き、最近は小建中湯を主として投与していた。
某年1月、昨日より39度の高熱が出て、ぐったりしていると訴え、受診。下痢はしてないが何も欲しがらない。裏寒は明白ではない。升麻葛根湯を口に含ませるとカーと眼を開き、さかんに欲しがり、2.5gを一度に舐めてしまったところ、すぐに顔色がよくなり、元気が出てきた。両親が漢方に信頼をおいていただいている方で、升麻葛根湯と茯苓四逆湯だけで様子をみさせていただくことにした。
2日後、受診。昨日の朝に解熱傾向となり、昨夜より全身に発疹が出てきた。今日は熱も下がり、食欲があり、元気にしている。皮膚を痒がるとのことで、黄耆建中湯に変更。
 
 
 
インフルエンザに補中益気湯
女児(7歳)
赤ちゃんの頃より、具合が悪いと当院を受診されている子供です。上の兄がインフルエンザにかかり、うつらないかと心配していたところ、朝より眼が潤み、目やにが出て、38.5度の発熱。口が臭く、食欲がなく、発熱のために顔が上氣し、ぼーとしている。インフルエンザB型陽性。軽度の胸脇苦満があるが、腹直筋の緊張はない。心下がこころなしか冷えている。補中益気湯2.5g/日(分2)で投与すると共に、真武湯1.5gを一日一回併用。焼き塩で身体を温めるように指示。後日受診時、インフルエンザはすっきり治ったとのことでした。
 

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