漢方症例集

発熱に真武湯

38.5度の発熱に真武湯
男児(3歳)

  • 某年年826日受診
  • プールに行ったところ夜中より38.5度の発熱。顔は熱いが手足、臍下も冷えています。腹痛、下痢はないとのことでした。裏寒と判断し、真武湯エキス顆粒2.5 g1日量とし、3 回に分けて服用すると共に、焼き塩で腹を温めるよう指示した。
  • 2日後の受診の際に、「熱は当日に下がりました」とのことで、すっかり元気になっていました。

 
発熱は温裏剤で温めるとよいことが多い
現代医学には裏寒の概念も治療法も無いので38.5度以上の発熱は一律に解熱剤の適応となりますが、漢方医学の立場では、この患者さんのように高熟が出ていても裏寒と判断するならば、身体を温める温裏剤の適応となります。現代医学の解熱剤ばかりでなく、漢方薬の中でも葛根湯や麻黄湯などの解表剤や清熱剤、柴胡剤などの適応とはなりません。  
日常臨床で高熱の患者さんを見せていただく機会はそれほど多くはありませんが、高熱を出して来られる方々ほど裏寒と判断される方が多く、おそらく今日の日本人は想像を超えて虚弱化しているためだと思っています。また、解熱剤服用後のライ症候群などの発生も、あるいは解熱剤を投与すべきでない裏寒の時期に解熱剤などで無理矢理身体を冷やしたために、身体が混乱して発生したとの推論も出来るのではないかと考えられ、真武湯などの温裏剤の果たす役割は極めて大きいと思います。 

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