漢方症例集

糖尿病に加味四物湯

糖尿病に加味四物湯
 
女性(57歳)
57才 女性 昨年の秋にくみ取りやに糖尿病を指摘される。病院受診を嫌がった為、
年末より娘を通じて1日1800-2000Kcal程度のバランスの取れた食事を摂取するよう指導。約1ヶ月で3㎏体重減少して初診。身長160㎝ 体重64㎏ 顔色は赤黒く頬に毛細管拡張あり。眼瞼は黒色調 腹部軟弱 下肢が細く歩行がもたついている。胸脇苦満はなく、下腹に瘀血所見は無い。空腹時血糖297mg/dl,一日尿糖100g。上盛下虚、加味四物湯証と判断した。(漢方治療を始めて間もなくの頃で、伊藤康雄先生の薬局で加味四物湯の正証で、上盛下虚の著しい方を見せていただく機会があった。)四物湯7.5g/日(分3)に八郎製薬の黄連、黄柏、麦門冬、五味子、知母、蒼朮、人参、牛膝の各エキス散を加えた杜仲抜きの加味四物湯を投与した。
加味四物湯投与2日目の1日尿糖排泄量は1.78gと劇的に改善。2週間後 空腹時血糖 118mg/dl。3週間後 空腹時血糖 117mg/dl 尿糖消失。
9ヶ月後 空腹時血糖 89mg/dl,尿糖(-)、50g糖負荷テスト正常化
赤黒かった顔面が明るくなり、元気になり、旅行に行けるようになった。西洋医学の糖尿病治療薬などは一切使用しなかった。
 
解説
残念ながら加味四物湯にエキス剤はありませんが、糖尿病に劇的に効きました。
今日は過食で運動不足の人が多く、上盛下虚.加味四物湯証が、注意すればかなりあるのではと思います。一般的に、漢方薬は西洋医学の補助との感覚で投与されることが多いのですが、西洋医学よりシャープに効くこともあります。漢方医学の奥は深く、研鑚を重ねていきたいと思います。
 
 

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