酒皶様皮膚炎に安中散
女性(34歳)
月経不順で4年間低用量ピルを服用していたところ,酒皶様皮膚炎となり,加味逍遙散などの漢方治療も受けているが,はかばかしくないと訴え受診。
157cm,46 kg、やつれた顔をしている。疲れやすいが,食欲良好。顔のほてり・耳鳴り・首肩のこり・起床時に腰が痛む。両臍横に圧痛と抵抗あり。胸脇苦満はない。理気・止痛・活血効果のある延胡索が配された駆瘀血剤である安中散5 g/日分2を投与した。
6カ月後,初診以来,ピルを中止していたが月経が来て,月経痛もない。酒皶も目立たなくなった。
【解説】 ピルを服用すると,ニキビや酒皶様皮膚炎などに悩む人がいます。この患者さんは漢方医学の立場から診ると,女性ホルモン剤が瘀血を助長し,酒皶様皮膚炎を引き起こしたのだと思われます。女性ホルモン剤を中止した上で,安中散を投与し,酒皶様皮膚炎が目立たなくなったばかりでなく,月経障害も改善されました。
今日,ピルなど女性ホルモン剤は改良されて副作用も軽減されたため,多用される傾向がありますが,ホルモン剤はホルモン剤です。あくまでも,最後の手段として用いるべきだと考えます。