頭痛に香蘇散
女性(59歳)
10年近く前より主に側頭部と後頭部の頭痛に悩まされていて,雨の日やその前日,疲れたとき,イライラしたときなどに起こりやすいとのこと。今回,かぜを引いたところ,気持ちが悪くなって嘔吐し,頭痛がひどくなった。念のため頭部CTを撮ったが異常はなかった。痩せ気味で暗い顔をしている。食欲はあるが食後眠くなる,寒がりで腰が冷える,頭がボーッとしてフラフラする,目が充血する,疲れやすい,肩が凝る,寝つきが悪い,胸苦しい,などの訴えがあった。心下が痞え,圧痛はあるが胸脇苦満や腹直筋の緊張,瘀血は明らかではない。気鬱で香蘇散証と判断し,香蘇散7.5g/日分3を投与。
2週間後,受診。頭痛が軽くなり,イライラが落ち着き,気分がよいとのことで同じ処方を続けた。
2カ月後,受診。顔つきが明るくなった。頭痛は忘れていられるほどよくなった。香蘇散を服用すると気分が穏やかでいられるということで,引き続き,香蘇散を所望された。
気圧の変動など外部環境の変化に対処できない頭痛に香蘇散
香蘇散は現代人によく合った処方です。頭痛や眩暈・ふらつき・肩こり・イライラ・むかつき・不眠・花粉症・蕁麻疹・かぜなどに,まず香蘇散を頭に浮かべてもよいと思うほど,最近,私はよく使用して,高い効果を実感しています。香蘇散がこれほど効果があるのは,最近の地球環境の激変により,激しい気象の変化や気圧の変動をきたすようになったことと大きな関係があると思います。外部環境の変化に対処できなくて,滞った肺気を香附子が発散させる効果があるのです。この先、地球環境は益々、激変すると予測されています。香蘇散など香附子配合処方の出番は益々、増えてくると思います。