高尿酸血症、高血圧に一貫堂の竜胆瀉肝湯
男性(41歳)
がっしりとした立派な身体で,解毒証体質特有の浅黒い顔つき。3,4年前より高血圧にてオルメサルタンメドキソミル10 mg/日を服用していたところ,尿酸値が9.2 mg/dLと上昇,脂質・γGTPの数値も高くなった。西洋医学の薬を使用しないで,漢方薬で治療したいと希望され受診。
首筋の凝り・顔のほてり・立ちくらみがある。胸苦しく,残尿感がある。手足は発汗し,両腹直筋の緊張,右胸脇部に胸脇苦満を思わせる抵抗あり。動物性タンパク質や脂肪を控え,玄米菜食に近い食事に変更するよう指示するとともに,一貫堂の竜胆瀉肝湯6 g/日分2を投与。降圧剤は続けることにした。
1カ月後,首肩の凝り・立ちくらみ・胸苦しさ・残尿感がなくなった。血圧も安定している。
3カ月後,尿酸値が7.6 mg/dLと著しく改善。脂質もγGTPも正常値となった。血圧も安定。
5カ月後,降圧剤をやめているが血圧も安定。顔が明るくなり,体調がすこぶるよいとのこと。
【解説】高血圧・高尿酸血症・高脂血症など生活習慣に起因する病状は性質上,重なって出現することが多く,西洋医学では大抵,数種類の薬を投与することになります。しかし検査値は改善しても,愁訴の改善やQOLの改善がみられないことがほとんどです。この症例が示すように,解毒によって余剰なものを下焦から排出することで,上下のバランスがとれるようになります。検査値が改善するばかりでなく,同時に愁訴の改善も得られ,心身ともに若返っていただけました。壮年のいわゆる解毒証体質の人の生活習慣病に竜胆瀉肝湯はきわめて有効な手段です。