漢方症例集

高血圧に血府逐瘀丸

高血圧に血府逐瘀丸
 
男性(62歳)
検診で高血圧・高尿酸血症・高脂血症・糖尿病を指摘され,西洋医学の治療を受けたが,はかばかしくないと訴え,受診。血圧150/100 mmHg。見るからにがっしりした体つきで顔面が赤黒く,細絡がある。首肩がひどくこり,のぼせ・ほてりあり。舌下静脈は怒張し,舌は紅,黄白苔あり。腹は充実し,下腹に瘀血を思わせる抵抗あり。血府逐瘀丸24丸(1日量)を分3で処方するとともに,西洋医学の薬はカルベロジール10 mgを1錠/日のみとした。
1カ月後,顔面の赤黒さ・のぼせ・ほてり・肩こりが改善し,血圧が140/85 mmHgと安定し,身体がすこぶる軽くなった。
3カ月後,7 kgの減量に成功。諸検査が略正常となった。
【解説】 いわゆる生活習慣病に対する西洋医学の進歩は華々しいものがあります。しかしながら検査値は落ち着いても,疾患の性質上,使用薬剤がどんどん増え,さらに新たな病気を引き起こして,体調不良を訴える人少なくありません。極言すると生活習慣病に対する西洋医学の治療は対症療法にすぎないといえます。漢方医学では,いわゆる生活習慣病の原因は肝腎の衰えが基本にあって,瘀血や気滞,水毒などが絡み合って病気を引き起こしていると考えます。四物湯をベースとし,駆瘀血薬と理気薬を組み合わせた血府逐瘀丸は,いわゆる実証で瘀血がある人の生活習慣病にきわめて有用な処方です。
 
 

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