漢方症例集

咽頭の詰まりと痛みの風邪に茯苓飲合半夏厚朴湯

咽頭の詰まりと痛みの風邪に茯苓飲合半夏厚朴湯
女性(40歳)
平成8524日初診
痩せて色白、胃腸が弱く、少し食べ過ぎると下痢をしやすい。(漢方医学の立場では脾虚、気虚タイプである。)
尿意が近く、よく頭が重くなるという。(この場合、気滞が疑われる)
この4~5日風邪をひき、頭が重く鼻水と咳が出る。
口が渇き、胃がつかえ食欲が無い。便もゆるい。
顔面がやや上気し、口唇が赤味を帯びかさかさで周りが荒れていた。
下垂した胃を触知し、心下が痞硬し冷えている。(六君子湯証と思われる)
また、背中の肺愈あたりも冷えていた。(隠れた裏寒と思われる)
以上より、平素から胃腸が弱く、気の滞りのある方の風邪薬である香蘇散エキス顆粒に六君子湯エキス顆粒と人参湯エキス顆粒を合わせ香砂六君子湯加減として投与し、甘草乾姜湯を兼用することとした。
平成8613日受診
あれからすぐ風邪が治り、胃腸の調子も良かったが、また風邪をひいたとのこと。
相変わらず心下が痞硬し冷えている、顔面もやや上気し、口唇が赤味を帯びている。
食事療法を指示すると共に、同処方を投与する。
香砂六君子湯は宿食のある現代人のファーストチョイスの薬
香砂六君子湯は食べ過ぎて胃がつかえている時に使用する薬方ですが、飽食の時代に生きる現代人は気づかぬままに平素より宿食を起こしているので、この薬方が適合する患者さんが多い。
温裏剤を除くと、私が使用する風邪薬のファーストチョイスです。
香砂六君子湯は胃のトラブルは勿論、神経症、不眠にも使用の機会が多い。

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