漢方症例集

風邪、扁桃腺腫大に参蘇飲

風邪、扁桃腺腫大に参蘇飲
男性(38歳)
某年824日初診
身長169センチ、体重96キロ。
太鼓腹をしていて高尿酸血症、脂肪肝あり。体がだるい。
いつもそうであるが、風邪をひき、扁桃腺を腫らした。
鼾がひどく、夜中に息が止まる。
汗をかきやすく口が渇いて水分を多く取る。下痢をしている。
舌は厚い黄白苔、舌質紅 臍下が冷えているが、背中の肺愈あたりが膨れ、圧痛がある。手は冷えていない。
裏寒は潜んでいるものの、肺熱を取る薬方が必要と考え、真武湯エキス顆粒と参蘇飲エキス顆粒を交互に、一日4回服用し、甘草乾姜湯を兼用することとする。
2週間後受診
扁桃腺の腫れに漢薬が良く効いたとのこと。
扁桃腺は依然として大きく赤みがある。
鼾のひどいのと、息が夜中に止まるのが続くとのこと。
缶コーヒーを一日に3~4杯飲むことを止め、温かいお茶をのみ、減食するように指示。
血液検査施行
尿酸:8.1
GOT:74
GPT:88
コレステロール:263
トリグリセライド:383
γ-GTP:74
グルコース:79
朝、真武湯エキス顆粒、夕に参蘇飲エキス顆粒と一日一回ずつ服用することとし、甘草乾姜湯を兼用する。
一ヵ月後受診
息が止まることはなくなったが、鼾は続くとのこと。
同処方を続ける
2ヵ月後受診
鼾をかかなくなり、疲れも取れてきた。
舌の厚い白苔が取れてきた。
同処方を続ける
3ヵ月後受診
風邪をひき、咳が出て胸が痛かったが、薬をいつもより多く飲んで治った。
今回は扁桃腺を腫らさずにすんだ。
同処方を続ける
4ヵ月後受診
風邪をひいたが軽くてすみ、扁桃腺も腫らさずにすんだ。
同処方を続ける。
6ヵ月後受診
健康診断の結果、尿酸:6.7、GOT:36、GPT:53、コレステロール:230、トリグリセライド:324となった。
同処方を続ける。
 
最近の風邪(温病)には参蘇飲
近年の風邪は葛根湯や麻黄湯が効くような傷寒.太陽病ではなく、温病の風邪が多くなりました。
中国では風邪は温病と考えられ、銀翹散が代表処方です。銀翹散に近いエキス剤は参蘇飲です。
参蘇飲を現代人の葛根湯の感覚で特に壮年の男性に良く使用している。
表熱裏寒、肺熱のある風邪で扁桃腺炎や咳き込み、胸が痛む気管支炎を起こしているのに使用すると良い。
また、この症例のように高尿酸血症や高血圧、喘息、関節リウマチ等に使用の機会がある。
 
 
 

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